Uターンを今するべきか?意思決定のポイントとは|転職相談Q&A

日ごろ転職相談でお寄せいただく質問にリージョンズのコンサルタントがお答えします。今回は「Uターン転職を考え始めたが、決めきれない」というご相談です。

※個人情報保護のため質問内容は一部加工しています。

子どもの誕生を機に、地元宮城で子育てをしたいという思いが強くなりました。いま34歳です。
私は大学院まで仙台で過ごし、就職で地元を離れ、現在は関西で暮らしています。妻も東北出身のため、お互いの実家の近くで、自然豊かな環境で子育てができた方が幸せなのではないかと思い浮かべています。
一方で、現在の仕事にはやりがいを感じています。やりきってから転職したいという思いもあります。ただ、それがいつになるかは分からないので、漠然と悩む時間ばかりが積み重なっています。どちらも決めきれない優柔不断な私にアドバイスをいただけますか。
(M・34歳・男性・機械系メーカーのエンジニア)

心の底からやりきったと思えるときが転職のタイミング

Mさんと同じようなご状況で相談に来られる方は多いです。安心してください。悩まれているお気持ちはよくわかります。

結論から申し上げますと、今は転職のタイミングではないかもしれません。

Mさん自身が「やりきった」と心の底から思えるまで、いまの仕事を頑張ってみるのがいいんじゃないかと、私個人としては思います。なんといっても、ご家族はMさんが毎日楽しそうに仕事から帰ってくる姿を望んでいると思いますから。

しかし、実際に活動するのは先だとしても、転職を考え始めた今のタイミングで「しておいたほうがいいこと」があります。Mさんの今後の人生にとって意味のあることだと思います。それは何なのか、詳しく説明していきますね。

人生のテーマを言葉にすることで、自分自身を認知する

Mさんにおすすめしたいのは、「人生において何を実現したいのか」を考え、アウトプットしてみましょう、ということです。

普通に生活していると考えないですよね、「俺はどう生きていくか」「何を成し遂げるのか」なんて。ましてや一生懸命に仕事をして、新しい家族が増えて……という環境であればなおさらです。

でも、人生においてこれまでと違うステージに入ろうとしているこのタイミングで考えることは大切です。

30代は、仕事の責任や自身の家族など守るべきものが一気に増えるものです。結果、「人生において何を実現したいか」が、人生の課題として大きくなってくる年代です。

自分の話で恐縮ですが、私もMさんと同じ34歳で関東から出身地の山形にUターンしています。長男の誕生という、人生に大きな変化があったタイミングでした。そこで「何が自分にとっていい人生なのか」みたいなことを、すごく考えましたね。

一度、Mさんが人生で実現したいことを言葉にしてみてはいかがでしょうか。自分がどんなことを想い、願っているか……転職を考えたことをきっかけとして、ここでアウトプットしてみましょう。

私たちは日ごろ、転職希望者からご相談をいただきますが、面談ではこの「どう生きていくか、何を実現したいか」ということについて対話します。そうすると、一段も二段も深いところで、その方が何を願っているか、どういう人生にしたいのか、何に対して愛情を注ぐか、何が本当の意味でのやりがいなのか……そういうことが浮き上がってくる、という場面がよくあります。

第三者に話を聞いてもらうことで、あらためて自分自身を認知できることってあるんです。相手は誰でもいいので、言葉にして話してみることをおすすめします。

条件だけにとらわれない意思決定をする

転職するかしないのか、決めるのはMさんです。悩ましいですよね。どのように意思決定をすればよいか、私の考えをお話しますね。

小さなお子さんがいる転職希望者には、「長期的に家庭をマネジメントしていける術を考えましょう」とお伝えすることがあります。どういうことかと言うと、条件「のみ」を優先して転職を決断するのは危険だということです。

例えば、結婚するから年収〇円くらい必要だ、子どもが生まれるから働き方を変えなきゃいけない……そういった面を優先して転職の意思決定をする方がいます。その気持ちはよくわかります。

しかしそれを重視するあまり、条件のみを優先し転職した場合、その仕事がご自身の思うやりがいにつながっていないと、キャリアは下降線をたどるリスクがあります。例えば年収などは景気の変動で容易に下がるものなので、年収に代表される環境面だけを理由に転職した方はまたそこで転職してしまいます。

繰り返すうちにキャリアはどんどん下降し、年齢を重ねると転職自体が難しくなってしまう。それって、心から望んでいることでしょうか?家庭の長期的な安定にとってプラスになるのでしょうか?このようなことは、なかなか見えづらいものです。だからこそ、キャリアコンサルタントとしてお伝えするようにしています。

このような意思決定が必要なタイミングで、自分が思う「やりがい」「人生で大切にしたいこと」を認知できている人は、条件だけにとらわれない決断ができます。結果的に、自分の選択を後悔しない、充実したキャリアを歩まれることは想像に難くないでしょう。

後悔のない決断をするために

Mさんが仮にいまUターンしたとしたら、やりがいを感じる仕事に仙台でも出会えるかもしれませんし、出会えないかもしれません。Uターンのタイミングとして今がいいのか、もっと先がいいのかは、誰にもわかりません。

だけど、いつかくるその時に後悔しない意思決定をするために、自分が人生で実現したいことを考え、表に出すことは、今このタイミングでした方がいいと思います。相手は誰でもいいのです。家族でもいいし、友人に話してみるのもいいですね。

でも私の経験では、本当に対話を必要としている方ほど、責任と忙しさによってそういう時間が取れないものです。あるいは「誰にもわかってもらえない」と、感じている方もいるようです。

だからこそ、こういう転機の時は私たちに想いを話してみてください。餅は餅屋です。Mさんが人生で実現したいことは何か、一緒に考えてみませんか。

 

今回の回答者:大石 豊(Oishi Yutaka)
2011年よりリージョンズにて採用/転職コンサルタントとして活動する中、企業向けの採用力向上研修、面接官養成研修、学生向けのキャリアセミナーなど、HRをテーマに多い時で年間30件ほど講師も務める。2019年には仙台市未来創造企業支援事業、県・市主導の「公民連携プロジェクト」に参画。2018年、東北大学地域イノベーションプロデューサー養成塾(RIPS塾)右腕幹部養成講座卒塾。
保有資格:中小企業事業再生マネージャー(TAM)、国家検定2級キャリアコンサルティング技能士 など