妻の地元へIターン。良い会社を見つける方法|転職相談Q&A

日ごろ転職相談でお寄せいただく質問にリージョンズのコンサルタントがお答えします。今回は「良い会社の見つけ方」についてのご相談です。

※個人情報保護のため質問内容は一部加工しています。

現在、神奈川県に妻と子ども1人と住んでいますが、妻の地元へのIターンを検討しています。
来年には第2子が生まれる予定で、いま住んでいる賃貸マンションが手狭になるため転居を考えています。妻からは地元に戻り、両親の近くに住みたいと言われました。妻も仕事をしていますが、フルリモートで働けていますので、どこに住んでも仕事を続けることができます。ただ私は週3~4日は都内の会社に出勤して仕事をしていますので、転職する必要があると思っています。
これまで縁のない妻の地元での転職活動となると、良い会社が見つかるか不安です。これから転職活動を始めるにあたって、良い会社を見つけるためのアドバイスがあればお願いします。
(T・38歳・男性・大学卒・大手金融機関の企画職)

自分にとって「良い会社」とは何かを考える

奥様の地元での転職活動、不安に思われるお気持ち、よく分かります。転職だけでも大変なことなのに、ゆかりのない土地となるとなおさらですね。今回は良い会社を見つけるためのアドバイスということで、お役に立てるようにお答えしていきたいと思います。

はじめに重要なことは、人によって良い会社の定義が異なるということです。

一般的には、業績が良い会社、成長している会社、離職率が低い会社、年収が高い会社、休みが多い会社などが思いつくかもしれません。ただこれは人それぞれの好みや志向であって、絶対的なものではありません。Tさんご自身がどういう人生を歩みたいか、何を大切にしたいか、ということで決まってきます。また人生の中で変化していくものでもあります。

例えばTさんは、来年に第2子が生まれ、共働きということですので、義理のご両親がどこまでサポートしてくれるかにもよりますが、当面の間は家族を中心とした時間の使い方が必要になるかもしれません。

しかし10年後はどうでしょうか。子どもが大きくなるにつれ、Tさんの人生や仕事に対する価値観にも変化が生じる可能性があります。事実、Tさんは現在、ライフステージの変化に伴い、都内から奥様の地元への転居を検討されています。そうなると、現在勤めている都内の会社は通勤できなくなる=Tさんにとって良い会社ではなくなる、ということになります。

またこれはご自身のライフステージのみではなく、外部環境によっても変わってきます。

おそらくTさんがお勤めの金融業界にもフィンテックによるスマホ決済や仮想通貨が浸透し、現金そのものを取り扱う機会は激減していることと思います。またこれまでの単純作業の多くの業務はRPAにより代替されてきました。店舗統廃合も進み人員削減といったニュースも目にするようになっています。一方で規制緩和により、事業会社への出資や新しいビジネスへの参入により多様な収益源が持てるようになってきました。

この数年間だけでもTさんを取り巻く環境は激変しているはずですので、今後の転職先となる会社・業界でも同様のことが起こる可能性は十分に考えられます。こうした外部環境の変化でも、ある人にとっての会社の良し悪しは変わってくるのです。

このように良い会社は人それぞれの価値観でも異なりますし、時間の経過によっても変化が生じます。では良い会社に絶対的なものはないとすれば、転職先を選択するにあたってどういうポイントで見ていけばよいでしょうか。

転職マーケットでの価値を維持できるキャリアを考える

私は、「自分のキャリアが転職マーケットで価値を持ち続けられるか」という観点が重要だと思っています。つまり、いつかまた転職する(せざるを得ない)ことも想定して会社を選ぶということです。

少しネガティブに聞こえるかもしれませんが、結果として転職した会社で定年まで勤められたら、それは素晴らしいことです。しかしさきほどお伝えした通り、ライフステージや外部環境の変化により、何が起こるか分からないことも事実です。

こうした変化はできるだけ避けるというよりも、当然起こるという前提で、いつ何時でも転職マーケットで価値を持ち続ける(転職できる)状態にしておくという意識が大切ではないでしょうか。

誤解のないように補足しますと、これは今後エンジニアのニーズが高まるから、自分もエンジニアになろうといったことではありません。もちろん職種ごとに将来の需給バランスはある程度予測が立てられていますので、需要の高い分野を選ぶことは間違いではありません。ただ、38歳という年齢から大幅にキャリアを変更することは現実的ではなく、転職する際にはこれまでのキャリアとの一貫性が求められるでしょう。

一方、人生100年時代を迎え、少なくとも70歳くらいまでは働かなければならないとすれば、38歳は折り返し地点どころか、新卒からまだ16年、キャリアの3分の1に過ぎないということも忘れてはいけません。これまで身につけた経験の延長線で、「できること」ばかり考えてしまうと、残りの32年間、ご自身の転職マーケットでの価値を維持することは難しいでしょう。これまでのキャリアの延長戦を意識しつつ、新しい経験・スキルが身につく、ということが重要になってきます。

例えば、Tさんはこれまで金融機関の企画職をやってきたのであれば、事業会社の経営企画や財務部門などのポジションへの転職も選択肢の一つになると思います。また、その地域の中小企業を中心にコンサルティングを展開するファームへの転職事例もあります。数は少ないですが、ファンドへの転職も可能性はあるでしょう。

これもよく誤解されるのですが、「良い会社」と「転職先として良い会社」は異なります。社名を聞いて、誰もがあの会社は良い会社だと思う会社であっても、自分が転職して幸せになるかというと話は別です。特に気をつけたいのは、良くも悪くも安定している会社です。ある程度オペレーションが出来上がっており、それほど変化がない場合、どうしても仕事がルーチンになってしまう傾向があります。入社当初の1~2年はまだ新鮮味があるかもしれませんが、それ以降毎年同じことを繰り返しているだけの感覚を覚えたときは黄色信号です。これは転職する・しないに関わらず毎年職務経歴書をアップデートしていると分かります。去年作成したものから追加できる職務、成果、スキルがない場合、転職マーケットで価値が低くなっている兆候と考えると良いと思います。

地方転職に強いキャリアコンサルタントに相談する

奥様の地元がどこかは分かりませんが、おそらく東京への通勤は難しいエリアと推測します。さらには、これまで縁がなかったということは、そのエリアの産業構造がどうなっているか・どういう会社があるのかも分からない状況なのだと思います。そうしたなか、手探りでTさんにとっての良い会社を見つけることは非常に難しいことです。

こうした場合、もしTさんに時間的な猶予があるのであれば、中長期的な転職活動になることも覚悟しつつ、しっかりと情報収集をした方が良いと思います。できれば転職エージェントにも複数登録して、キャリアコンサルタントから地域のマーケットや企業情報もお聞きになるとよいでしょう。

地方転職が難しいとされる一番の理由は情報量の少なさです。一般的に上場企業をはじめとした大企業の場合は、IR情報などで情報収集もできますが、中小企業となるとホームページ等の限られた情報しか手に入りません。

なぜ大企業と中小企業の話をするかと言うと、東京都では会社員の58.7%は大企業で勤務していますが、地方ではその割合が大幅に低くなります。

弊社の展開している拠点を例に挙げますと、大企業で勤務している割合は、北海道16.5%、宮城県15.4%、栃木県14.6%、茨城県13.6%です。つまり地方転職では情報収集しやすい大企業のみに絞ってしまうと、選択肢が非常に限られてしまうということを意味しています。

参考:都道府県・大都市別企業数、常用雇用者数、従業者数(民営、非一次産業、2016年)※中小企業庁サイトにリンク

地方で企業規模や知名度だけで判断するのではなく、個別に企業の「中身」の情報を得て判断する姿勢が、結果的にTさんにとっての良い会社を見つける近道ではないでしょうか。

どれだけ一流のビジネスパーソンであっても、自分の専門外の地方の個別企業の情報は知らなくて当然です。そういう場合は、その道のプロに相談するとよいでしょう。

自分の市場価値を高められる会社を選ぶ

人によって良い会社の定義は異なります。そしてそれはご自身のライフステージや外部環境によって変化するものでもあります。

絶対的な良い会社はないという前提のもと、いつか良い会社の定義が変わり転職する(せざるを得ない)ことも想定して、ご自身の市場価値を高められる会社という基準を持っておくとよいのではないでしょうか。

特に地方での転職の場合は、個別の企業情報が簡単には得られないケースが想定されます。その場合には、自分の力だけではなく転職エージェントなどその道のプロにも相談することをお勧めします。

Tさんが、ご自身にとって良い会社と出会い、納得のいく転職ができることを願っています。