英語は転職やキャリアアップに活かせるのか|転職相談Q&A

日ごろ転職相談でお寄せいただく質問にリージョンズのコンサルタントがお答えします。

今回は「英語は転職やキャリアアップに活かせるか」というご相談です。

※個人情報保護のため質問内容は一部加工しています。

IT企業の総務で管理職を務めています。英語学習をコツコツと続けており、先日受験したTOEICのスコアは700点でした。順調にスコアを伸ばしているものの、客観的に見れば「英語ができる」とは言えない点数ですし、実務で使える気がしません。
最近、転職を考え始めました。せっかくなら英語を活かして転職したいし、もっと英語力を伸ばしたいとも思っています。あわよくば年収も上げたいですが、実際のところはどうなのでしょう。これから英語力を伸ばし続けたとして、キャリアに活かせるのでしょうか。アドバイスをお願いします。
(O氏・34歳・女性・大学卒・総務)

英語ができる人材の価値は下がっていない

社会人で英語を学び始めたということは、10年以上勉強されているのでしょうか。継続して学習している点はもちろん、日常的に英語を使う環境ではないにも関わらず700点というスコアも素晴らしいと思います。

Oさんはこれまで培った英語力を活かして転職し、さらにスキルアップしたいとお考えなのですね。

この先のキャリアを考えると、間違いなく「英語力はある方が良い」でしょう。

近年は旅行などのイベントだけでなく仕事においてもDeepLに代表される高精度なAI自動翻訳が利用されており、英語を身につける必要はないと考える人も増えています。たしかに自動翻訳は便利ですが、行間を読んだり、相手の立場や文化を考慮した発言をしたりといったコミュニケーションはできません。また、英語を使うことは無いと思っている人でも、今後のキャリアで仕事の幅が広がるとその機会が巡って来る可能性があります。そのときに英語ができないとせっかくのチャンスを逃してしまうかもしれません。

今後ますます、日本の企業はどんどん海外マーケットに進出していくでしょう。Oさんのように意欲的に英語を学んでいる人材のニーズは高まっていくことが予想されます。

転職をする場合も、英語力が必須要件の場合はダイレクトに活かせるでしょう。また、英語を使わないポジションでも無駄にはなりません。「ハイスコアをとるくらい努力できる人」という一面の裏付けになるため、採用選考において有利になる可能性があります。

英語の市場価値は環境と職種で変わる

Oさんは、英語がキャリアと年収アップに与える影響についても知りたいのですね。結論から言うと、「英語ができる」だけではキャリアアップも年収アップも難しいのが現状です。

しかし「英語を使って〇〇ができる」となると市場価値は一気に高まります。どのような環境や職種でどのような英語力があれば市場価値が高まるのか、いくつかのケースを紹介しましょう。

英語でキャリア・年収アップ:環境編

① 海外で働く

20年以上賃金が上がらない日本に見切りをつけ、海外へ行く人が増えているというニュースを目にします。円安が追い風となり、同じ仕事でもアメリカでは3倍以上の収入になることも。また、日本に居ながらリモートを使い海外の給与水準で働く人も増えつつあります。そんな人たちの英語力はどれほどなのか、気になりますよね。

アメリカやオーストラリアなどの英語圏はもちろんのこと、欧州でも他国とのやり取りが発生するシーンでは英語でのコミュニケーションが発生します。欧州の人にとって英語は母国語と似ていることが多く比較的容易に習得できるため、ビジネスレベル以上の英語力をもつ人が多いです。そのため、幅広い業務を「英語でこなせて当たり前」ということがスタートラインになります。

20代までが対象のワーキングホリデー制度を利用する場合を除いて、英語を使わない仕事はほとんどありません。30代以上の人が海外で働くことを目指す場合、ビジネスレベル以上の英語力は必須になるでしょう。いま働いている日本企業よりも高い給与水準の企業を選べば、年収アップもかないます。

② 外資系企業

日本に暮らしながら外資系企業で働く場合、英語力が必要かどうかは企業によって様々です。英語を公用語としている会社もあれば、ポジションによっては英語を全く使わない会社もあります。

しかし社内でキャリアアップするうちに本国とのやり取りや日本人以外の社員と協働する場面が増えるため、外資系企業の採用選考では日常会話や読み書きが問題なくできる程度の英語力を求められることが一般的です。英語でコミュニケーションできることが理想ですが、まずはTOEIC700点以上で最低限の英語力(業務においてメールや電話のやり取りができるレベル)があるとみなす会社が多いため、Oさんも選択肢のひとつとして検討してみるとよいでしょう。

③ 日本企業

日本の企業で働く場合、日常的に英語を使う業務でなければ英語力の有無は問題になりません。しかし海外進出している企業の場合、昇進の条件にTOEICスコアが設定されていたり、英語力が必要とされる業務に異動できたりと、キャリアアップに役立つことがあります。英語学習に力を入れている企業であれば、Oさんの希望であるスキルアップも応援してくれる制度が整っているでしょう。

英語でキャリア・年収アップ:職種編

日経リスキリング(※)の調査によると、TOEIC500点以上の英語力がある人は、すべての職種において平均年収より高い収入を得ているというデータがあります。

(※)参考:日経リスキリング  https://style.nikkei.com/article/DGXZQOLM0433O0U2A001C2000000/

職種別では「機械・電気・電子エンジニア」が他の職種と比べて英語力が年収アップに結び付きやすいという結果が出ています。メーカーエンジニアの場合、納入先が海外企業であることも多く、海外の設計部門の人と英語で話せる人材のニーズが高いという理由です。Oさんも総務やマネジメントのスキルを高めながら英語力も身につけることで仕事の幅が広がり、年収アップにつながるかもしれません。

英語力がある人ほど高年収を得ている業界として代表的なのは金融や保険業です。この業界は外資系企業が多いことも理由のひとつですが、日本企業に勤めている人でも、トレードファイナンス、M&A、海外審査などの業務にたずさわる場合は高度な英語力が求められます。英語を使って専門的な職務ができることが市場価値を高めるということです。

チャンスを掴むために英語を使う

ここまで英語力が仕事や転職に与える影響についてお話ししてきました。

実際に語学力をキャリアに活かしているモデルケースとして、リージョンズのコンサルタント陳さんを紹介します。陳さんは台湾人で、母語ではない日本語と英語で仕事をしています。

日本にはOさん以外にも英語力を身につけたい、仕事で活かしたいと考えている人もいるはずですので、ビジネスレベル以上の語学力を身につけた方法と、語学力があることで転職や仕事で有利になった点について話を聞きました。

キャリアに活かせる語学力を身につける方法

── 陳さんは日本語と英語が堪能ですね。どのように学んだのでしょうか。

私の実家は台湾の一般的な家庭で、とくにグローバルな環境でもなかったので、日本の多くの方と同じような状況だと思います。語学留学などの経験もありません。

日本のアーティストを好きになり、いつか隣で同時通訳ができるようになりたいと思って日本語を学び始めました。アーティストが出演している番組を中国語に翻訳してみたり、字幕を見て「中国語は〇〇だけど日本語では△△」と細かいニュアンスを考えてみたりといったことから勉強を始めました。

大学2年までにN1(日本語能力試験の最高難度)をとるという目標を立てて、取得後は日本語教師のアルバイトもしていました。就職してから通訳を依頼されるくらいには話せるようになりましたし、現在は日本国内の人材紹介事業を担当しています。

英語は、学んだというよりは自然に身についたというところでしょうか。進学校では第二外国語クラスが設けられているくらい英語の”活用”が重視されています。大学は学校によってTOEICの点数が卒業条件になりますが、「英語を身につけるための勉強」という感じではないですね。

語学力があれば、巡ってきたチャンスを掴める

── 語学力がキャリアに活きた経験について教えてください。

一番に思いつくのはリージョンズに入社したときですね。日本で仕事をしたいという夢があり、恩師が「北海道での仕事に興味がある人は連絡を」とSNSに投稿していたのを見てすぐに連絡をとったことがきっかけですが、日本語力を磨き続けて自信がついていたからこそ、迷わず行動し夢をかなえられたのかもしれません。

また現在はほとんどの業務を日本語で行っていますが、海外の企業に対応するときは、他拠点の顧客でも私がサポートに入ることがあります。英語で顧客対応できるコンサルタントは少ないので、頼られると嬉しいですね。英語力がなければ経験できなかった仕事に関われることで、自分のキャリアの幅も広がります。日常的にはポッドキャストを聴くくらいしか英語に触れていませんが、日常生活や仕事で使う機会に実践で英語力を磨いています。

── 英語をキャリアに活かしたいと考える方にアドバイスをお願いします。

英語をキャリアに活かしたいと考える方には、日常生活や仕事でもっと気軽に使ってみることをおすすめしたいです。

私の学生時代の友人はアメリカやオーストラリアで働いている人が多くいますが、チャンスを掴むために海外にいくという考え方です。日本人以外にとって、英語は「使えるのが当たり前」のツールなんです。正しい文法や発音じゃなくても、英語でコミュニケーションをとるという姿勢が重要だと思います。英語はどんどん使うことで身につきますし、自信がつくことで、キャリアの幅も広がると思いますよ。

おわりに

転職やその先のキャリアを考えるうえで有利になる英語力について解説しました。Oさんの業務の専門性と英語力の掛け合わせがキャリアアップにつながりますので、よかったら参考にしてみてくださいね。

リージョンズでは、スキルやご経験を丁寧にヒアリングし、転職について個別具体的なアドバイスを行っています。自分の語学力を活かして転職したい人はぜひリージョンズにご相談ください。

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