「本当にこれで良かったのか」Uターン後の不安への対処方法とは?|転職相談Q&A

日ごろ転職相談でお寄せいただく質問にリージョンズのコンサルタントがお答えします。

今回は「地元にUターン転職することはできたが、地方でキャリア形成するにあたって注意すべきことを教えてほしい」というご相談です。

※個人情報保護のため質問内容は一部加工しています。

コロナ禍で自分の仕事や人生について考える機会が増え、東京から宇都宮にUターンしました。東京では大手消費財メーカーの人事として仕事をしていましたが、都会で仕事に重きを置いて生きるよりも、地元に戻った方が自分らしく生きられると感じていました。
Uターンに伴い地元の中堅化学メーカーに転職して、前に比べて仕事の負担が軽くなり、自分の時間が増えたのでUターンして良かったと思っています。ただ、東京でのキャリアを捨てて地元に戻ってきたという印象もあり、本当にこれで良かったのかと不安になることもあります。
これから地方でキャリアを積んでいくにあたって、注意すべきことがあればアドバイスお願いします。
(K氏・34歳・男性・大学卒・人事)

地方に転職後のキャリア形成で注意するポイント

東京では大手企業に勤めていたのですね。まずはそれを捨てて、宇都宮にUターンしたというKさんの決断力は素晴らしいと思います。

一方で、Uターンして良かったと思うものの、時間が経つにつれ、本当にこれで良かったのかという不安を感じていらっしゃるということですね。それでは、その不安を少しでも解消して、地方に転職したあとのキャリア形成についてこれから注意すべき点についてお答えしていきたいと思います。

① Uターンしただけで、「自分らしさ」が得られるわけではない

コロナが流行してから、一人ひとり自分に合った生き方・働き方を大切にするという風潮が今までに増して顕著になってきました。しかし、自分に合った生き方・働き方とは何か、Kさんの言葉を借りれば「自分らしさ」とは何かということを自己認知することは非常に難しいことです。人は現状に不満があると、その対極を望むことがありますが、それが自分らしく生きることに繋がるとは限りません。

Kさんはなぜ「都会で仕事に重きを置いて生きるよりも、地元に戻った方が自分らしく生きられる」と感じたのでしょうか?仕事の負担を軽くすること、自分の時間を増やすこと、これだけであれば、東京で転職する、時短で働く、という選択肢もあったはずです。そうした選択肢を十分に検討しないまま地元にUターンをしたのであれば、少し安易な決断だったのかもしれません。

コロナ禍でリモートワークも浸透し、地方に移住する人も増えてきました。一昔前であれば、都会の生活を捨てて地方で暮らすとなれば、Uターンは都落ち、Iターンは変わり者、というイメージすらありましたが、いまはまったく珍しいものではありません。それゆえに「気軽な」地方移住をしてしまうと、あとで後悔することになってしまいます。

KさんはすでにUターンをしていますが、まだ遅くはありません。まずはKさん自身が理想とする生き方や働き方は何か?を掘り下げて考えてみましょう。

② 目的がUターンだけでは、人生全体で幸せにはなれない

次にKさんが目的をもって地元にUターンしていた場合ですが、そのときに「Uターン」と「キャリア」を切り離さないことが大切です。東京から地元にUターンすることは、キャリアを捨てることではなく、エリアが変わるだけと考えましょう。まずは「Uターン」が第一で、「キャリア」は二の次となってしまうと、人生全体で見たときに幸せにはなれません。

 ここでいうキャリアとは、決して年収が高いことやカッコいい仕事をすることだけを言っているのではありません。「東京でのキャリアを捨て」たことはどうでもよく、Kさんの人生の目的に沿った納得のいく仕事をすることが大切です。東京で働く元同僚と社格や年収といった表面的な比較をすることなく、Kさん自身が納得のいく仕事ができているか、その1点だけで考えましょう。

それが叶っているのであれば、不安になる必要はありません。そうでないのであれば、他の会社への転職も視野に入れると良いと思います。暮らしたいところで暮らし、納得のいく仕事ができる、この2つがセットになってはじめてUターンは成功したと言えます。

③ 地方に染まり切らないで、常に東京を意識しておく

矛盾しているように感じるかもしれませんが、Uターンして納得のいく仕事ができているとして、それでも常に東京を意識しておくべきです。生活拠点を地方に移したとしても、仕事に地理的な境界線はなく、取引先、競合、顧客は、日本全国にあり、世界に広がっていることもあるでしょう。

そうしたなかで、地方の狭いマーケットだけを見ていては閉塞的になってしまいます。最新の情報、トレンド、技術はどうしても人が集まるところ(日本でいえば東京)から生まれますから、地方にばかり目を向けていると、Kさん自身のビジネスパーソンとしての魅力が薄まっていくリスクがあります。

Uターンして地元に戻ったからといって、この先の長い人生では何が起こるか分かりません。もし将来のどこかのタイミングで転職をしなければならない、場合によっては東京に戻らなくてはならない、となっても困らないように常に意識しておきましょう。

定期的に東京に足を運ぶ、東京の友人・元同僚と情報交換する、許されるのであれば副業・兼業で東京の仕事をリモートで手伝う、などを通してつながりは持ち続けることが大切です。

Uターンして幸せな人生を送るために大切なこと

まずは自分に合った生き方・働き方とは何か、もう一度考えてみると良いと思います。そのうえで、Uターンする目的は何だったのか、Uターンした後の仕事には納得できているか、この2点を振り返ってみましょう。「本当にこれで良かったのかと不安になる」ということは、その奥にKさんの大切な価値観があり、それがヒントになるはずです。

また、地方に染まり切らず常に東京も意識しておくことで、Kさんのビジネスパーソンとしての価値を維持向上できるようにしておくことも大切です。いつ訪れるか分からないキャリアの転換点を迎えたとき、東京に戻る、地元で転職する、といったさまざまな選択肢を選べる状況であればUターンは成功と言えるでしょう。

今回の回答者:佐藤 照昭(Sato Teruaki)
神奈川県横浜市生まれ。中央青山監査法人、京都監査法人(現:PwC京都監査法人)で、上場企業(米国上場企業含む)や上場準備会社の会計監査、M&Aに伴う財務デューデリジェンス、自社リクルーティングに携わる。2009年、リージョンズ株式会社に入社。現在は、茨城県担当のコンサルタントとして、採用支援/転職支援の両面に携わっている。
保有資格:国家検定2級キャリアコンサルティング技能士、公認会計士

北海道・宮城・栃木・茨城でのキャリア形成について、客観的なアドバイスが欲しい人はリージョンズにご相談ください。

この記事のタグ

30代の転職 | R佐藤 照昭 | Uターン転職 | キャリアアップ | 副業 | 転職相談Q&A

\ 個別キャリア相談会 開催中!/

ご予約はこちら