【休日休暇編:労働条件通知書シリーズ】事例で学ぶ!内定承諾の前に確認しておくべき5つのポイント

採用されたポジションの休みは土日でしょうか、それともシフト制でしょうか。また、入社時にすぐ年次有給休暇は付与されるのでしょうか。このような内容は、労働条件通知書に記載されています。この記事では、労働条件通知書に記載すべき「休日休暇」の項目について、フォーマットや記載例を参考にしながらポイントを解説していきます。

労働条件通知書とは

労働条件通知書とは、企業が労働者と雇用契約を結ぶ際に明示すべき項目を記載した書類のことを指します。詳しくはこちらの記事で紹介しています。

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今回取り上げる休日休暇は、労働条件通知書に必ず明記することが義務付けられているものです。つまり、入社を決める前に必ず確認する項目になりますので、その内容をしっかりと理解できるようにしておきましょう。

労働条件通知書における休日・休暇の記載内容

労働条件通知書では「休日」と「休暇」に分けて記載されています。労働局のフォーマットを見てみましょう。

※参照:主要様式ダウンロードコーナー(厚生労働省)

休日について

休日とは、「労働の義務がない日」のことをいい、労働条件通知書では主に次のような内容が記載されています。

  • 毎週定例の休みがある場合はその曜日
  • 国民の祝日が休みであるかどうか
  • 非定例の休み(いわゆるシフト勤務)である場合は、週または月あたり何日の休日があるか
  • そのほか企業が個別に定めている休日
  • 1年単位の変形労働時間制を採用している場合は、年間休日日数

休暇について

休暇とは、「労働の義務がある日のうち、その日の労働が免除された日」のことをいい、労働条件通知書では主に次のような内容が記載されています。

  • 年次有給休暇の取得要件
  • 時間単位年休の有無
  • 代替休暇の有無
  • その他有給、無給休暇の有無とその具体的な内容

以上の内容について、実際に労働条件通知書の記載例を用いながら詳しく見ていきましょう。

(1)定例と非定例の休日

労働基準法においては、企業は「毎週少なくとも1日の休日」を与えるか、「4週間を通じて4日以上の休日」を与えなければならないと定められています(労働基準法第35条)。なお、労働時間は原則「週に40時間以下、1日に8時間以下」という定めがあります。そのため、1日の労働時間が8時間の場合は、週5日間を労働にあてて、残りの2日間は休日になります。週に2日間の休日がある企業が多いのはそのためです。

労働条件通知書には、企業が定めている休日について詳しく記載されています。

①休日が定例の場合

定例日とはあらかじめ曜日や日付が特定されている休日のことです。その曜日は必ず休日となり、仮に出勤した場合は時間外労働または休日労働という扱いになります。

②休日が非定例の場合

非定例日とは、週または月あたりの休日日数だけが定められており、具体的な曜日は未確定であることを示します。いわゆるシフト勤務の場合はこの記載となります。

求人票で「完全週休二日制」「週休二日制」という記載を見たことがあるのではないでしょうか。一見すると似たような内容に思えますが、実際は全く異なっているので注意が必要です。

「完全週休二日制」とは、1週間のうちに必ず2日の休みがある制度のことです。
完全週休二日制(土・日)、祝日……毎週土日と祝日が休日になります。
完全週休二日制(土・日・祝日)……毎週土日が休日になりますが、祝日がある週の場合は、土日のどちらか1日と、祝日が休日になります。
例……2023年1月9日(月・祝)の週は、土日のどちらかと9日が休日です。土日のどちらかは出勤となります。
完全週休二日制(シフトによる)……毎週2日の休日がシフトで定められます。

「週休二日制」とは、1カ月のうちに1回以上は週に2日の休みがあり、その他の週では1日以上の休みがある事を指します。
毎週必ず2日の休みがあるわけではありませんので注意しましょう。
週休二日制(日、月1回土曜日)……毎週日曜日と、月に1回土曜日が休日になります。
週休二日制(月7日、シフトによる)……毎月7日の休日があります。

なお、基本的に土日が休日となっているが、全社会議のため年に1度だけ必ず土曜日出社がある、というケースの場合は完全週休二日制とはいえません。この場合は週休二日制(土・日 ※年1回土曜日出社あり)といった記載になります。

職種ごとの休日の違いに注意!
同じ企業であっても、職種によって休日休暇が異なる場合があります。例えば店舗で接客をする場合はシフトによって休日が定められますが、本社で管理業務に従事する場合は完全週休二日制で土日が休日となるようなケースです。自分が応募している職種がどのような休日制度をとっているか、あらかじめ求人票で確認をしておきましょう。

(2)変形労働時間制

先にも説明をした通り、労働基準法において、労働時間は基本的に「1日8時間まで、1週40時間まで」と定められています。しかし、繁閑期の差がはっきりしている企業などは繁忙期に時間外労働が増え、閑散期に労働者の手持ち時間が増えてしまうなどの問題がありました。それを解消するために定められたのが変形労働時間制です。

 変形労働時間制とは、繁忙期と閑散期に応じて労働時間を調整する制度です。例えば業務が多忙になる月末月初の労働時間を多めに設定し、仕事にゆとりが生まれる月中は少なく設定するといったケースが考えられます。

 変形労働時間制には「一カ月単位の変形労働時間制」「一年単位の変形労働時間制」などの種類がありますが、労働条件通知書の休日項目においては、「一年単位の変形労働時間制」の場合に、年間休日を記載する必要があります。

この場合は、1年単位の変形労働時間制を導入しており、年間休日が105日間であることを表しています。

(3)年次有給休暇

雇用形態や勤務形態にかかわらず、労働者が一定の日数勤務を継続した場合、年次有給休暇を付与することが労働基準法で定められています。

有給休暇が最初に付与されるタイミングは、「6か月の間勤務を継続し、そのうち8割以上の出勤をしたとき」です。労働条件通知書においては、その付与日数が記載されています。

なお、一般労働者(所定労働日が週5日以上または30時間以上の労働者)の場合、年次有給休暇は、最初に与える際には最低10日間の付与が義務付けられています。その後、1年の継続勤務年数ごとに、与えた日数に1日分の年次有給休暇が加算されていきます。最終的には、6年6ヶ月目には20日間の年次有給休暇が付与されることとなります。つまり、労働基準法における年次有給休暇の最低限の日数は20日間ということになりますが、それを上回る日数を付与することは企業側の自由となっています。なお、有給休暇は付与されてから2年以内に行使されなかった分は消滅します。

①6ヶ月継続勤務で付与されるケース

6ヶ月継続勤務をした場合、最初に10日間の年次有給休暇が付与されます。

②分割付与されるケース

6ヶ月経過する前に有給休暇を分割付与することも認められています。

このケースでは、3ヶ月経過後にまず年次有給休暇が5日付与されます。その後3ヶ月経過し、合計で6ヶ月継続勤務した場合に、残りの5日間が付与されることとなります。

その他にも、入社時に3日付与し、6ヶ月経過後に残りの7日間を付与するといった分割付与のパターンもあります。このように継続勤務が6ヶ月以内の場合に年次有給休暇の付与を行う場合は、その条件が労働条件通知書の中で明示されています。

③時間単位休暇の有無

年次有給休暇は、労使協定を締結したうえで、時間単位での年次有給休暇を付与することができます。これを時間単位年休といい、労働条件通知書には時間単位年休制度の有無が記載されています。

なお、年次有給休暇には本来「労働者にまとまった日数の休日を取得させる」という目的があることから、時間単位年休は年に5日の範囲内に限られています。

企業が従業員の有給休暇を買い取りすることは原則として認められていません。労働者がしっかりと休むことができるように定められた制度ですから、買取をしてしまうと本来の目的を果たすことができなくなってしまいます。
しかし、有給休暇の買取が認められる例外のケースもあります。

①労働基準法で定められた日数を上回って付与された有給休暇
労働基準法で定められた日数を上回って有給休暇が付与された場合、上回った分の有給休暇を企業が買い取ることは問題ありません。

②退職時に残っている有給休暇
退職後に有給休暇を消化することはできませんので、残余分を企業が買い取ることは問題ありません。

③時効になった有給休暇
有給休暇は付与されてから2年経過すると時効消滅となります。その分を企業が買い取ることは問題ありません。

いずれの場合も企業側が任意で定めるものであり、必ず保障されるものではないことに注意しましょう。買い取り制度がある場合は就業規則に記載されていますので、気になる場合は確認をしておくと良いでしょう。

年間5日の年次有給休暇の取得義務について
2019年4月に施行された働き方改革関連法により、企業は労働者に対し、年次有給休暇の日数のうち年5日について、時季を指定して取得させることが義務付けられました。これは、年次有給休暇の取得率が低迷していることを背景に、取得率の改善を目指し施行されたものです。
なお、労働者側が既に5日間の取得をしていた場合は、企業側が時季を指定することはできません。また、企業側が時季指定を行う場合は、「時季指定の対象となる労働者の範囲」と「時季指定の方法」などについて、必ず就業規則に記載されています。

(4)代替休暇とは

代替休暇とは、労使協定を結んでおり、月あたり60時間を超える時間外労働が発生した場合に、超えた部分の時間外労働について50%以上の割増賃金の支払いの代わりとして有給休暇を与える制度です。労働条件通知書には、代替休暇制度の有無について記載されています。

※2022年12月現在、月60時間を超える法定時間外労働の法定割増賃金率50%について中小企業は適用が猶予されていますが、2023年4月から中小企業も適用となります。詳しくは下記より厚生労働省のHPをご覧ください。
改正労働基準法のポイント
・補足:中小企業の事業主の皆さまへ

代替休暇・振替休日・代休の違い

代替休暇に似ている言葉として、「振替休日」と「代休」があります。ここでそれぞれの違いについても押さえておきましょう。

①振替休日

振替休日とは、休日と定められている日をあらかじめ労働日に変更し、その代わりに他の労働日を休日にすることです。つまり、労働日と休日を交換するということになります。あらかじめ指定されることになるため、この場合は休日労働の扱いにはなりません。

②代休

代休とは、休日労働が行われた後に、その代償として他の労働日を休日として扱う措置のことを指します。代休の場合は、振替休日とは異なり、休日と労働日を交換したわけではなく、休日労働した事実は残りますので、休日労働分の割増賃金が発生することになります。「代替休暇」と混同しやすいので注意しましょう。

(5)そのほかの休暇について

そのほかに休暇制度がある場合、労働条件通知書に有給・無給に分けて休暇の種類、日数(期間等)が記載されます。なお無給休暇とは、給料の支払いがない休暇のことを指します。法律で定められている年次有給休暇を除き、企業が個別に定めた休暇に対して給料を支払うかどうかは企業が自由に決めることができます。

例としては、産前産後休暇、育児休暇、介護休暇、生理休暇、誕生日休暇などがあります。一般的に、産前産後休暇・育児休暇・介護休暇・生理休暇は無給休暇、誕生日休暇は有給休暇のことが多いですが、企業によって休暇の内容は異なりますので、不明な点は事前に企業に問い合わせるのが良いでしょう。

無給休暇と欠勤の違い
休暇は「労働の義務がある日のうち、その日の労働が免除された日」です。
無給休暇と欠勤は給料の支払いがないという点は同じですが、「労働が免除された日」であるかという点が異なっています。
無給休暇は会社の規定により労働が免除された日であり、無給休暇を取得したことによる人事評価への影響はありません。一方、欠勤の場合は、本来労働の義務がある日に休んだということになります。そのため、欠勤が続くことで人事評価に影響が出る可能性があります。

おわりに

ここまで、労働条件通知書の休日休暇について見てきました。似ている用語であってもその内容が全く異なることがありますので、しっかりと内容を確認し、入社後に「こんなはずではなかった」とギャップが生じないようにしましょう。

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