理論年収(想定年収)とは?実年収との違い、算出方法を詳しく解説

理論年収は、転職するときに絶対に知っておきたい言葉です。これを知らずに転職すると、はじめての源泉徴収票を見たときに「実年収と全然違う!」と愕然とすることになります。

それでは理論年収とは何なのでしょうか。実年収との違い、何が含まれて、何が含まれないのかといった算出方法を詳しく解説していきましょう。

理論年収とは何か?

理論年収とは、会社に1年間在籍した場合に得られる年収を、基本給や賞与、手当などをもとに算出したものです。

しかし、理論年収は法的に明確な定義があるものではなく、主に中途採用において転職者が年収のイメージを持てるように慣習的に用いられているものであることを理解しておきましょう。会社ごとに理論年収の定義が微妙に異なるケースもありますので、何が含まれていて、何が含まれていないか、算出方法や前提条件など、しっかり確認する必要があります。

想定年収という言葉もよく耳にしますが、基本的には理論年収と同じと考えてよいでしょう。しかし会社によっては、理論年収と想定年収を使い分けていることもありますので、言葉に惑わされずに、正しい情報を得るように心がけましょう。

理論年収に含まれるもの・含まれないもの

それでは理論年収には何が含まれて、何が含まれないか、個別に見ていきましょう。

基本給(基本賃金):○理論年収に含まれる

基本給(基本賃金)は理論年収に含まれます。基本給(基本賃金)とは、毎月固定で支払われるベースとなる給与のことです。注意したいポイントとしては、会社によっては試用期間中の基本給(基本賃金)が異なる場合がありますが、理論年収は試用期間終了後の基本給(基本賃金)をベースに算出されるということです。

賞与(ボーナス):○理論年収に含まれる

賞与は理論年収に含まれます。しかし、基本給(基本賃金)と異なり、賞与は会社業績や個人評価によっても金額が異なります。それゆえ理論年収に含まれる賞与の金額の算出方法や前提条件はしっかりと確認しておく必要があります。

一般的には「賞与算定基準額×前年度実績賞与支給月数」で算出されることが多いです。しかしこの場合でも、賞与算定基準額は基本給だけなのか、手当はどこまで含まれるのか、前年度実績賞与支給月数はどのように月数を算出しているのか、管理職も含めた平均か、人事評価の平均値で支払われる月数かなど、会社ごとに異なりますので注意が必要です。

なお、入社初年度は在籍期間の関係で実際には賞与が満額支給されることはほぼありません。しかし理論年収では「満額支給されたとしたら」という仮定で計算されます。そのため入社初年度において、賞与は最も理論年収と実年収で乖離が生じやすい項目となりますので気をつけましょう。

通勤手当:×理論年収に含まれない

通勤手当は一般的には理論年収に含まれません。通勤手当は経費精算の意味合いが強く、所得税の計算上も原則非課税となります。しかし会社によっては、稀に理論年収に通勤手当が含まれている(含まれてしまっている)ケースもあるため必ず確認しておきましょう。

住宅手当:○理論年収に含まれる

住宅手当は理論年収に含まれます。住宅手当は通勤手当とは異なり所得税の計算上も課税対象となりますので合わせて覚えておくと良いでしょう。

社宅に住む場合は、住宅手当として支給されるのではなく、逆に自己負担分が給与から控除されることになります。住居に対する福利厚生という意味では同じですが、自分で住居を契約し、その家賃の一部を住宅手当として支給された場合は理論年収に含まれ、一方、会社が契約または所有している社宅に住み、自己負担分を給与から控除される場合は理論年収には含まれません。

残業手当(変動):×理論年収に含まれない

実績に応じて毎月変動する残業手当は理論年収に含まれません。理論年収は入社前に算出するものですから、その時点では何時間残業するかは分かりません。そのため理論年収には含めないとすることが一般的です。ただし会社によっては、毎月の残業時間を見込んで、それに基づく残業手当も理論年収に含まれている(含まれてしまっている)ケースもありますので注意しましょう。

固定残業手当:○理論年収に含まれる

毎月変動する残業手当に対して、残業の有無に関わらず一定時間分の残業手当を支給する固定残業手当は、理論年収に含まれます。前述した、実績に応じて支給する残業手当(変動)とは異なり、固定残業手当は入社前に算出できるためです。なお、一定時間を超えて勤務した場合には、固定残業手当とは別に残業手当が支払われることとなりますが、理論年収に含まれるのは、固定残業手当のみです。

成果報酬(インセンティブ):△会社によって異なる

成果に応じて支給される成果報酬(インセンティブ)は理論年収に含まれないことが多いです。入社前に成果報酬の金額を算出することは困難であるためです。しかし、成果報酬は賞与(ボーナス)と意味合いが似ており、会社によっては成果報酬の内容や金額などを考慮して理論年収に含めるケースもあります。特に年収に占める成果報酬の割合が多いときは注意が必要です。

その他手当:○(概ね)理論年収に含まれる

上記に記載した以外にも、各種手当は「入社前に算出でき」かつ「所得税の課税対象になる」ものについては、原則として理論年収に含まれます。例えば、家族手当、寒冷地手当、役職手当は理論年収に含まれます。一方で出張手当といった入社前に算出できないものは理論年収には含まれません。

理論年収の算出方法

一般的な理論年収の算定式は、

月額固定給(課税対象)×12ヶ月 + 賞与算定基準額×前年度実績賞与支給月数

となります。

しかし上述したとおり、会社によって月額固定給にどこまで含まれるか、賞与の基準額や支給月数の算出方法が異なるため、一概には言えません。最終的には労働条件通知書を見て確認することが必要となります。

役職等によっては、年俸制を採用していることがあります。その場合は、年俸額をそのまま理論年収とみなすことが一般的です。

1年未満の有期雇用の場合は、契約期間を1年間とみなして理論年収を算出することが一般的です。

理論年収と実年収との違い(対比表)

理論年収と実年収との違いをおおまかに以下の表にまとめましたので、あくまでイメージとしてですが参考にしてください。特に違いが発生するものは、賞与と残業手当(変動)の2つです(成果報酬の割合が高い場合は成果報酬も含めた3つ)。

賞与については、ほぼ例外なく、理論年収より実際に(1年目に)支給される金額の方が少なくなります。一方で残業手当(変動)については、理論年収には含まれないのに対して、実際は残業した分だけ支給されますので、実際に支給される金額の方が多くなります。

※実年収とは
実年収は、自分が実際に支払いを受けた給与と賞与の総支給額です。通勤手当や旅費・出張費など、非課税になる手当は含まれません。源泉徴収票の「支払金額」に記載される金額と言っても良いかもしれません。そのため、実際に1年が終わってからでないと正確な金額は算出できません。

理論年収の注意点

理論年収を見て判断する際に注意すべきポイントは以下の2つです。

「理論」上の年収であり、実年収とは異なる

理論年収はあくまで理論上の年収です。そのため、保障された金額と考えてはいけません。特に賞与と残業手当(変動)については、理論年収と実年収に大きい違いが生じやすい項目となりますので注意が必要です。

算出方法・前提条件を確認する

理論年収の算出方法や前提条件は会社によって異なることがあります。特に複数の会社から内定を得て、比較したい場合には注意が必要です。会社から提示された理論年収で比較するのではなく、自分自身で算出方法や前提条件を立て、同じ条件下で理論年収を計算して比較する必要があります。

まとめ

転職するときは、理論年収とは何か?実年収と何が違うのか?を知っておくことは必須です。そのうえで、理論年収を計算する際には、会社ごとに異なる算定方法や前提条件を用いていることがあるため、その中身をしっかりと把握したうえで、自分の希望条件を満たしているか、どちらの方が好条件かといった比較をする必要があります。とはいってもはじめての転職ではなかなか難しいものです。

リージョンズでは、理論年収についての注意点や解説も含めて一人ひとりにアドバイスしていますので、北海道・宮城・栃木・茨城での転職をお考えの方は、ぜひご相談ください。

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